KnightsofOdessa

モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイルのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

3.0
No.618[アーサー王すらイジるパイソンズの才能] 60点

以前からモンティ・パイソンは気になっていたが、どうも海外のコメディは好きになれないので放置していた。そして、「人生狂騒曲」がとてつもなく下劣だったので遠ざけていたのだが、”1001の映画2011”の595番目なので鑑賞。

ひとまず安心したのは「人生狂騒曲」ほどぶっ飛んではいなかったこと。恐らく、多くの事を馬鹿にしすぎて感覚がおかしくなっていたのだろうと勝手に考える。とはいえ、本作品も十分ぶっ飛んではいたが。

パイソンズの面々は揃いも揃ってオックスフォードやケンブリッジ卒のインテリだらけであり、しかもテリー・ジョーンズとマイケル・ペイリンは中世の歴史を修めていたため、本作品は”アーサー王映画の中で最も時代考証が忠実”とも言われている。不思議な話だ。

監督はパイソンズの中からテリー・ギリアムとテリー・ジョーンズが担当したが、方向性の違いから喧嘩が絶えず、撮影中はギスギスだったらしい。しかも、主人公アーサー王を演じるグレアム・チャップマンは立ってるのもやっとなくらい重度のアル中で、セリフもガンガン飛ばしまくり、何度もテイクを重ねていた。また、製作費も少なく、撮影初日にカメラがぶっ壊れる、馬を雇えないなど災難だらけだった。など、踏んだり蹴ったりなパイソンズだが、ココナッツをぶつけて蹄の音にするなどシュールなことを考え出し、映画を乗り切っている。このアイデアは単純に凄いと思った。

結論、やはりパイソンズはナンセンス・コメディなので、スラップスティック派の私にはイマイチ響かなかったが、ロビン卿が逃げ出す歌や”ニッ”の騎士など笑えるシーンも多々あった。あと、アニメの部分は非常に格好良かった。でも、それくらいだなぁ…明日の朝には2/3くらいの内容を忘れてそう…そんな作品だった。

追記
ラストは”ハロッズのウィンドウで聖杯を見つける”というものを書き直したらしい。コメディの脚本を書くと分かるが、書き始めると新しく思いついたネタが一番面白いと思って何度も書き換えたりするものだが、多くの場合一番最初に思いついたネタが一番だったりする。
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