あかめ

アンドレイ・ルブリョフ 動乱そして沈黙(第一部) 試練そして復活(第二部)のあかめのレビュー・感想・評価

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前に観たときは前半寝てしまいましたが、後半だけでもどえらい映画であることがわかったのでいつかまた劇場で観たいと思っていたら意外に早くその機会がきて、2年ぶりくらいに観ました。今度は186分しっかり観ました。タルコフスキーというと地味で長くて眠いイメージですが、この作品は長いけど、全然退屈しません。とにかくスケールが壮大です。
イコン画家のアンドレイ・ルブリョフが主人公となる作品ですが、彼が傑作を生み出した背景を描くことが目的の作品なのでエピソードによってはルブリョフが全然出てこなかったりもします。
600年前のイコン画家のお話と聞くと地味そうですが、当時のロシアの動乱期をしっかりとスペクタクルとして描くので圧倒される壮大さです。でありながら、はじめに本筋との関係が良くわからない気球で飛んでいく男が出て来たり、アンドレイが異教徒の裸まつりに巻き込まれたり、タタール人が攻めてきたり、少年が父から学んだ技で鐘作りしたり、多彩なエピソードが盛りだくさんで退屈しません。
イコン画家の話なのにルブリョフが全然絵を描かないのにびっくりです。3時間かけてようやくやる気出したら描くところすっとばして実際のルブリョフの絵が出てくるのも大胆な構成です。
全体的にモノクロですが、最後の絵からカラーになるのも見事な効果だし、断然タルコフスキー映画の中でも好きな作品です。
終盤に鐘職人の少年が仕事をやり終えて泣き出すのをルブリョフが抱きしめてよしよしするのに「僕の村は戦場だった」同様、ショタ風味でなんかいいです。
実は当時のソ連の体制を重ねて描いているというところが重要。
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