あかめ

人間の境界のあかめのレビュー・感想・評価

人間の境界(2023年製作の映画)
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この映画を観るまでベラルーシとポーランドの国境でこのような難民の押しつけ合いが行われていることを知りませんでした。この作品ではまずシリアからの難民が飛行機でベラルーシにやってくるところから描かれ、ベラルーシから国境を越えてポーランドへ行くと国境警備隊に捕まり、また国境からベラルーシに押し返され、続いて国境警備隊の隊員の視点から、その続きが描かれます。非人道的な暴挙を行う彼らは国から難民はテロの手先にもなりうるから排除しろと命令され、彼の行動の動画を観た妊婦の妻からも非難され、心を病んでいきます。さらに難民を助けるべく行動する活動家の視線から続きが描かれ、彼女たちも逮捕されないようにギリギリのところで活動している姿が描かれ、次に国境警備隊の精神科医が難民が沼にハマっているのを見つけたことから、とりつかれたように難民救助活動に身を投じる姿が描かれます。ベラルーシとポーランドの国境で起きている蛮行を様々な視点から多角的に描くことでこの事象を自分ごとに出来るように見せることに成功していると思います。
こんな傑作が映画マスコミの間であんまり話題なっていないのが非常に残念です。
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