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彼女が消えた浜辺のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

彼女が消えた浜辺(2009年製作の映画)
4.5
[ファルハディ、結婚に恨みでもあんのかな] 90点

「別離」にノックアウトされた私は「ある過去の行方」「セールスマン」を完全放棄してまで探し回った本作品。忘れた頃に発見し鑑賞。

流石ファルハディ、痛いとこ突いてくる。誰でもやってしまう、その場しのぎのつまらない嘘や軽いノリ、登場人物全員がエリを若干不快にさせている。そんなことをいちいち気にしていたら生活できないのだが、エリが失踪することで全員が”やべ、俺のせいかも”と思うのは笑える。と同時に、私の身にも起こり得ると思うと、心底ゾッとする。

お人好し主人公セピデーを演じるゴルシフテ・ファラハニの見事な演技が作品の空気感の重要な部分を占めている。作中の人物はエリを連れてきた彼女をやり玉にあげ、自身の罪悪感を軽減しようと試みる。経験あるなぁ…

エリ役のタラネ・アリドゥスティによれば、「セールスマン」は本作品のエリとアーマドがくっついていたらどうなっただろうか、というパラレル的続編らしい。アーマドが窓越しに割れたガラスをエリに手渡すシーンが「セールスマン」で再現されているというのだ。

いずれにせよ、ファルハディは結婚に恨みがあるらしい。
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