オーウェン

日本暗殺秘録のオーウェンのレビュー・感想・評価

日本暗殺秘録(1969年製作の映画)
4.0
「日本暗殺秘録」は、桜田門外の変から二・二六事件まで、近代日本のテロの歴史をオムニバス形式で描いた作品だ。

時代劇から任侠・やくざ路線まで、東映オールスターの出演で、オープニングの桜田門外の変で、若山富三郎のダイナミックな殺陣が登場したかと思えば、大久保利通暗殺の唐十郎や大隈重信暗殺未遂の吉田輝雄などは一瞬の出演と、エピソードによって出番もかなり異なっている。

東映の看板スターが全員テロリスト役で、悪役の多い小池朝雄や賀川雪絵が哀れな善人役というのも面白い。

メインは全体の三分の二を割いた血盟団事件で、純朴な地方青年の小沼正(千葉真一)が、政治家を暗殺し逮捕されるまでの話。

正義感の強い青年が、テロリストになるまでを緻密に描き、映画全体のテーマ性を支えている。

テロリズムの本質に迫る笠原和夫の脚本を、中島貞夫監督がダイナミックに演出している。

イデオロギー的な色彩の強い内容に、スプラッター描写を混在させた点も独特だ。
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