オーウェン

トム・ジョーンズの華麗な冒険のオーウェンのレビュー・感想・評価

5.0
この映画「トム・ジョーンズの華麗な冒険」は、1963年度のアカデミー賞、ゴールデングローブ賞で最優秀作品賞を受賞した、英国の鬼才トニー・リチャードソン監督の作品。

この映画の前年の「長距離ランナーの孤独」で注目された、英国の俊英トニー・リチャードソン監督が、18世紀の通俗的な長編小説を原作に、快調なテンポと才気煥発な演出で仕上げた、冒険コメディの傑作だと思います。

大地主に育てられた捨て子が、女好きの調子の良い青年に育ち、女難濡れ衣やらの冒険を重ねて、危機一髪のところでハッピーエンド。

いかにもお気楽な風俗劇だが、"怒れる若者"の代表格と目された、社会派のトニー・リチャードソン監督が、一転、娯楽的な題材を才気いっぱいに撮った作品だけに、オスカー、ゴールデングローブのダブル受賞となったのだ。

私がこの映画で、特に注目したのは、精力旺盛、女好きで義侠心に富む、ユニークな放蕩児のトム・ジョーンズというヒーローを、生き生きと明るく演じたアルバート・フィニーだ。

彼は英国王立演劇学校出身のシェイクスピア役者という、まさに英国男優のエリート・コースの出身で、若い頃、ローレンス・オリヴィエの再来と注目され、同期にピーター・オトゥール、アラン・ベイツという役者がいましたね。

彼は、デヴィッド・リーン監督の「アラビアのロレンス」の主役のロレンス役のオファーを受けながら断り、ピーター・オトゥールに変更になったという逸話が残っていますね。

彼はその後も「いつも二人で」「クリスマス・キャロル」「オリエント急行殺人事件」「火山のもとで」「ドレッサー」等の数々の作品で、演技派俳優として活躍しましたね。
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