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グレアム・ヤング毒殺日記の消費者のレビュー・感想・評価

グレアム・ヤング毒殺日記(1994年製作の映画)
3.7
・ジャンル
クライム/コメディ/ドラマ/実話

・感想
1962年に行われた継母の殺害から‘71年に逮捕されるまで周囲の人々に犯行を重ねた実在の連続毒殺犯、グレアム・ヤング
本作は後に影響を受けた少女による殺害未遂、及び彼女の模倣犯という2人の犯罪者を生み出した事で日本では特に知られる彼の残した同名の手記を元に製作された作品
家族以外の犠牲者達や毒物の入手方法等に関しては脚色しているが大筋は事実を反映していると思われる
実際の彼の生い立ちや事件や以降の話等はこちらの動画で詳しく解説されている
https://youtu.be/iPgpnogLDd4?si=j725oi3C1UtbKXbb
https://youtu.be/xHlFdbOe1hQ?si=1HBiqGyxs7Yzsu8N

シリアルキラーを題材とした実話物としては珍しくコメディ色の強い内容となっている本作
その作風に関しては的確で実際のグレアム・ヤングは化学や毒物に傾倒し大人顔負けの知識とそれを実行する能力を持ちながらも間抜けな失敗や現代で言う厨二病的な人物像で知られている(アンチモンを「僕の友達」と友人に語ったり…)
それだけに序盤のシットコム的な描写を最後まで貫き一般的なシリアルキラーとは違うチンケな存在として描いて欲しかったなぁという点が惜しい
でも終始ナルシシスティックな独白のナレーションや淡々と毒物を混入し続け経過観察にのめり込む際のまさしく厨二な感じや自己顕示欲の示唆などは良かった

特に好きだったのはそのコミカルさとは正反対に継母の病状の悪化や嘔吐などはしっかりと生々しく描かれていた点や終盤の追い込まれたグレアムの自爆の滑稽さ
それらは事の本質をしっかりと突いていて印象的だった

世界観や描写、リズミカルな展開などが良かったのでより突き詰めた内容でリメイクして欲しいなぁ、と
出来ればより事実をそのまま反映した成長譚として

元はゴードン・ノースコットと彼の母、ルイーズによる事件を扱った名作「チェンジリング」を鑑賞する予定だったけど、警察が無関係の少年を被害者の母に息子と偽り渡したという汚職がメインで事件その物や犯人達にフォーカスした部分が無さそうだったのでこちらに変えた
なので期待通りしっかり犯人が主体となっていた内容にはそれなりに満足
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