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犬人間の消費者のレビュー・感想・評価

犬人間(2022年製作の映画)
3.7
・ジャンル
サイコホラー/スリラー

・あらすじ
マッチングアプリでクリスチャンという青年と出会った女子大生のシグリッド
初デートから2人は互いに好印象だった
彼の家に招かれる時までは…
一人暮らしとは思えないクリスチャンの大邸宅でシグリッドが目にした物
それは彼が“犬”として飼う男の存在
困惑を隠しきれない彼女だったがルームメイトのオーロラから彼の素性を知ると前向きに関係を築き始める
クリスチャンは亡き億万長者の息子だったのだ
その上、人柄は紳士的でシャイだが心優しく料理も上手い彼に“飼い犬”のフランク以外に欠点は見当たらなかった
やがて2人は正式に交際を始めシグリッドもフランクの存在に慣れていくのだが…

・感想
「ドッグマン」の公開時に似たタイトルであった事から一部で注目を集めたノルウェーのサイコホラー/スリラー作品

几帳面な亡き富豪の息子クリスチャンの几帳面な性格を反映した整然とした画や抑制された世界観
どこかに“地雷”がありそうな彼の振る舞い
正反対のルーズな性格でありながら惹かれ合うシグリッドとのコントラスト
その中で異物として強い存在感を放つ着ぐるみの“犬人間”フランク
細部に配置された飼育のされ方の示唆
これらの要素は綺麗に噛み合っていたし前半までは普通に面白そうな内容だった
それだけに後半に差し掛かったあたりで明らかになる真実が予想通りのありがちな物で惜しい作品
ご丁寧にクリスチャンとフランクへの理解の為にシグリッドがYouTubeで“パピー・プレイ”の解説動画を観る場面まであったからどういう展開を見せるのか楽しみだったんだけどなぁ…

どうせなら2人の飼育関係を合意の物にして理由を闇深くするか、性癖としてのパピー・プレイを描くか、あるいは几帳面な管理の成れの果てとするか…
題材がトンチキなんだからそれを超える物を見せて欲しかったというのが正直な所

前述の様に描写自体は凄くちゃんとしてるし、クリスチャンの豹変後の行動もあくまでフランクを犬として扱い続けながらの“罰”も絶妙に厭で好きだっただけに本当に残念
特に爆音でゴアノイズらしき音楽を流しながら詰めたり尻叩いたりするシーンは結構好きだったし…

どうしてもトンチキ映画となるとヨルゴス・ランティモス監督が真っ先に浮かぶから同じレベルとまでは行かずとももっと良い意味で暴走して欲しかったかな…
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