BOB

ザ・ブルード/怒りのメタファーのBOBのレビュー・感想・評価

3.5
デヴィッド・クローネンバーグ監督のSFホラー。

謎の連続殺人事件が発生中。一人の男が、自分の妻が精神科施設で受けている治療法の正体を暴こうとする。

"Psychoplasmics"

『ザ・フライ』以来、2作目のデヴィッド・クローネンバーグ監督作品。

キモくて怖い!クローネンバーグ映画に抱いていたイメージそのままのSFホラー映画だった。男女のドラマとグログロボディホラーがあった。スプラッター描写やカニバリズム描写は見られるようになってきたけど、ボディホラー耐性はまだ備わっていない。

クローネンバーグ監督版『クレーマー・クレーマー』。夫婦喧嘩とその犠牲になる子供がコンセプト。妻の人体変形を分かり合えない夫婦のメタファーとして、人間の子供のようで人間の子供ではない生物"The Brood"を女性の怒りのメタファーとして、SFホラー映画に落としこんでいるのが面白い。

精神科医が"サイコプラズミック"という胡散臭い精神療法を提唱する。気になって調べてみると、「サイコドラマ」や「心理劇」と呼ばれる、演技の枠組みと技法を用いた心理療法が実際に存在するそうだ。

"サイコプラズミック"治療を受ける患者たちは、父親や母親の存在を求めていた。「嫌いだけど愛してる」という言葉や、ラストの涙が印象的だった。

カナディアンホラー。ストーリーはアメリカの"ジャンル映画"っぽいけど、世界観は北欧サスペンスに似たものを感じる。曇り空と雪景色。身も心も冷え切っている。北国特有のものなのか。

見せない演出と音楽は『サイコ』。『シャイニング』も。

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