イチロヲ

吸血鬼ドラキュラのイチロヲのレビュー・感想・評価

吸血鬼ドラキュラ(1958年製作の映画)
4.0
行方不明の友人を捜索するべく、トランシルヴァニアの城を訪れた医師が、吸血鬼の存在を知らされる。ブラム・ストーカーの同名小説を映像化している、ハマー・フィルム謹製のホラー映画。ユニヴァーサル製作「魔人ドラキュラ」(1931年度)のリメイク版。

ドラキュラの毒牙にかけられた女性の心理状態を汲み取ると、深淵まで楽しむことが可能。「首筋を噛む」というエッチな行為は言わずもがな。そのエクスタシー体験から脱出不能になり、「もうシニそう!吸血狂いのムレムレ女!」へと変貌していく。

映像面では、室内に配置されている小道具が多いため、その装飾美術の情報量を楽しむことができる。ドラキュラ自身が十字架のかたちに見えそうなモノを徹底的に排除しながら、拘りの空間作りをしていると思うと、不思議な愛着が湧いてくる。

イギリス・ルーマニア間の移動描写が淡白であり、となり近所に出かけているような感覚しか得られないが、総合的には大満足の出来栄え。ベラ・ルゴシ、クリストファー・リー、岸田森の、国際ドラキュラ選手権を想像してみるのも、また一興。
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