イチロヲ

旅の重さのイチロヲのレビュー・感想・評価

旅の重さ(1972年製作の映画)
3.5
窮屈な母子家庭からの脱却を目指して、四国遍路の一人旅を始めた16歳の少女(高橋洋子)が、多様な境遇をもつ人々との交流を繰り広げていく。素九鬼子の同名小説を映像化している、ロード・ムービー。

いわゆる、少女の「母親離れ」と「自分探し」をテーマに取っている作品。旅先で母親に宛てた手紙の内容を語りながら、物語が進行していくスタイル。心身ともに母親を超えていく様子が、明確に分かるようになっている。

片田舎の生活風景をありのままに捉えているため、日本のワビサビをきっちりと感じ取ることができる。全国をドサ回りしている芝居一座との交流劇と、父親と同年代の中年男(高橋悦史)に恋心を抱くようになるまでの機微が、印象に残る。

旅をしないままで中年に差し掛かった人間が鑑賞すると、大ダメージを受けてしまうこと請け合い。とりわけ、いつも母親と腕を組んでデートしている、「母親ベッタリ系」の独身女性にとっては、色々と思うところがあるに違いない。
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