オーウェン

ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝のオーウェンのレビュー・感想・評価

3.5
この作品では、舞台をシリーズ当初のエジプトから中国に移していますね。
こうなると、もはやなんでもアリ。ついに、このシリーズの邦題の「ハムナプトラ」って、何の意味もなくなったんですね。

シリーズのヒロインを演じていたレイチェル・ワイズが、残念ながら降板し、マリア・ベロが後を引き継いだが、主人公を演じるブレンダン・フレイザーはもちろん、へっぽこジョン・ハナーも復帰。加えて、これが大事なところなのですが、なんとジェット・リーが悪役で、ミシェル・ヨーも出演。監督も正続を手がけたスティーヴン・ソマーズから、たまには失敗作もあるとはいえ、娯楽映画を撮らせて信頼の厚いロブ・コーエンに交代。
この出演者、この監督ならと、とりたててシリーズへの興味は特にないのですが、一見の価値はあるかなと思って鑑賞しました。

このシリーズは、そもそもはユニバーサル・ホラー「ミイラ再生」のリメイク製作を発端にしています。だが、これまでも、そんな源流はどこへやら、自由に脚色・展開されてきました。
もちろん、インディアナ・ジョーンズに代表されるような、クラシカルな冒険活劇を手本にしているには違いないのですが、なにしろ1999年、つまり、スターウォーズで言えば、新三部作のスタートした夏に、第1作が公開されたという事実が象徴的なように、CGを全面導入したダイナミックなVFXを売り物にしたファンタジー要素が大胆に融合されているところが、他の映画とは異なる個性になっていますね。

いろいろ変化はあったとはいえ、この作品も基本的な路線は同じ。
ドラゴン好きのロブ・コーエン監督が、手綱を握ったこともあってか、悪役ジェット・リーは、当然のごとく凶悪(だがどこか愛嬌のある)ドラゴンに変身し、砂塵の中をミイラの大軍勢が激突する。
ジェット・リーにミシェル・ヨーという、素晴らしいアクションスターを迎えておきながら、VFXで埋め尽くされた画面の中で、我々映画ファンが、この2人に期待するような活躍と見せ場はそれほど多くない。

また、前作で誕生した息子が成長した設定で登場するのですが、主人公ブレンダン・フレイザーの大冒険というより、妻や息子も一蓮托生、「オコーナー家族の珍道中」とでもいうべきファミリー映画路線に舵を切った節がありますね。
それは興行的には意味があるのかもしれませんが、主要なキャラクターが増員した分だけ、描写が薄くなり、とっちらかっただけという印象を受けましたね。

前作までの、「サービス満点」といえば聞こえはいいが、切るところを忘れたかのように何でもかんでもてんこ盛りでお腹一杯という、スティーヴン・ソマーズ路線からは離れ、真っ当な娯楽活劇に仕上がっているとは思います。
しかし、前作までにあった、ある意味でヘンテコリンで荒削りなパワーというか、勢いのようなものは影をひそめています。
そうなると、これはこれで、とりたてて見所のない平凡な娯楽大作以上の何ものでもないわけで、微妙な感じがしますね。
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