イチロヲ

魔の家のイチロヲのレビュー・感想・評価

魔の家(1932年製作の映画)
3.5
嵐の危険から逃れるため森の中の屋敷に集まった人々が、奇行を繰り返す住人に脅かされていく。J・B・プリーストリーの小説を映像化している、サスペンス・コメディ。

第一次世界大戦後の厭世と自棄を暗喩として取り扱いながら、何かしらの劣等性を抱えている登場人物たちの種々相を、屋敷内に限定して描いていく。喜劇と怪奇ホラーが渾然一体となっており、社会の縮図を笑い飛ばすような力が働いている。

本作でデビューとなるチャールズ・ロートンは、天真爛漫な性格を取り繕いながら、妻の喪失を払拭させようとする男を熱演。怪奇要素では、無神論者を蔑視している老婆、終盤まで姿を見せない100歳の長老が、好奇心を刺激してくる。

「フランケンシュタイン」の監督ということもあり、屋敷に雇われている唖者の使用人役でボリス・カーロフが再起用されている。フランケンシュタインの怪物と似たようなキャラを求められてしまう、当時の境遇が見え隠れする。
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