KnightsofOdessa

ブロンドの殺人者のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

ブロンドの殺人者(1943年製作の映画)
4.0
[善良なる市民感あふれるマーロウと脳筋ゴリラと] 80点

気配もなく神出鬼没に背後を取る脳筋ゴリラに人探しを頼まれたマーロウがボロ雑巾みたいに扱われる話。脳筋ゴリラは初登場から強烈で、暇を持て余して窓から下に広がる街を見下ろしていたマーロウが、ネオンの点滅と同時に窓に反射する脳筋ゴリラの影を見るというもの。ノワール映画って感じ。あまりイメージに馴染まないディック・パウエルがマーロウを演じていることもあって、ハードボイルドというよりも巻き込まれたお人好しが頑張ってワルい雰囲気出してる感じがして最早可愛い。グレイル邸の巨大な待合室でステップを踏むという意味不明なリップサービスまである(キャラと違いすぎて草)。ヘレンとアンがしょうもないことで口論し合うのを横でかったるそうに見てるのも、顔に"早く帰りたい"って書いてあって可愛い。

ラストの善良な市民感が本作品の市民感を綺麗にまとめてくれている。あの二人ならなんだかんだいい夫婦になるだろう。『影なき男』のニック・チャールズ夫妻のように。
KnightsofOdessa

KnightsofOdessa