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フォー・ウェディングのBOBのレビュー・感想・評価

フォー・ウェディング(1994年製作の映画)
3.5
英国アカデミー作品賞を獲得した、マイク・ニューウェル監督の結婚ロマコメ。

"Do you think you might agree *not* to marry me? And do you think not being married to me might maybe be something you could consider doing for the rest of your life?"

リチャード・カーティス脚本の良いロマコメ映画。俳優たちは魅力的だったし、クスッと笑えるユーモアもあったし、当時としては新しい結婚観の提示もあった。他の代表作(『ノッティングヒルの恋人』『ラブ・アクチュアリー』『アバウト・タイム』etc)と比べて、ロマンチック度が控え目。

メッセージは"人生は運とタイミングが大切"、ストーリーは"他人の結婚式で出会った男女が恋に落ちる"というよくあるものだが、本作で特筆すべき点は別にあると思った。

それは、"結婚しなくても、良好な夫婦・パートナー関係が築けるのではないか"という問題提起がなされていること。主人公は、何度も冠婚葬祭に出席する中で、運命の愛、運命の相手を見つけるだけでなく、形式としての結婚が自分には向いていないのではないかと疑問を持ち始める。最後に見せた"結婚を申し込まないプロポーズ"は、名シーンだと思う。

サントラが、しっかりと物語を語る。オリジナルテーマ曲は"Love is All Around"♪。一人目の結婚式後に流れるのは、"愛する男を支えるために自分の生涯を捧げなさい"と歌う"Stand By Your Man"♪。エンドロール前に流れる曲は"Chapel of love"♪で、背景に流れる結婚式での幸せそうな新郎新婦たちの写真と並列して、子供と3人で映るチャールズとキャリーの家族写真もあった。

ヒュー・グラントが"ロマコメの帝王"への道を歩みだし(てしまっ)た頃の作品。残念なグッドルッキングガイを演じさせたらピカイチ。普通に考えたら酷い男ばかりだが、ヒュー・グラントが演じると、良くも悪くも嫌味な感じがしない。

ヒロインのアンディ・マクダウェルが、見惚れるほどに美しい。特に、ウェディングドレスのフィッティングシーンには心奪われた。マイク・ニューウェル監督作品で言うと、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』でハーマイオニーがピンクのドレスで登場するシーンばりの破壊力があった。また、彼女の娘が『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で"ぴえんなヒッピーガール"を演じていたマーガレット・クアリーだということを初めて知った。

『イングリッシュ・ペイシェント』前のクリスティン・スコット・トーマス。エンドロールで、現イギリス国王チャールズ三世とのツーショット写真が使われていて驚いた。

ローワン・アトキンソンも出演している。牧師を演じていても、変装したMr.ビーンにしか見えなくて滑稽だった。

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