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海の上のピアニストのTPのネタバレレビュー・内容・結末

海の上のピアニスト(1998年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

 ピアノ弾きと客船の3等室に乗りこんでいた女性との淡い恋と別れなど,所々トルナトーレらしい心のひだを触るようなシーンがあるものの,どうも二番煎じのような気がしてしまう。初監督で「ニュー・シネマ・パラダイス」という世界中の映画ファンの涙を絞った傑作を作ってしまい,どうもそれを越えられない。ちょっとばかりわざとらしいユーモアや疑問を持ってしまう展開などの演出面は監督の特性だからしかたがないものの,ラストのピアノ弾きが残っている船の爆破は「ニュー・シネマ~」の映画館の爆破につながるし,ピアノ演奏のスペクタルは「シャイン」のそれを連想させ,新鮮味がない。

 客船は停泊したままの病院となったあと老朽化し,爆破を待つばかり。船の中を探し回り、ピアノ奏者を発見するのだが,1900年に産まれ,第2次世界大戦中も客船のピアニストとして活躍したピアニストがなぜ,そんな経歴の船から1歩も外に出ずに暮らしてこれたのか?発見時にバリッとしたタキシードを着ているのか?ラストの展開がどうも納得できない。原作がそうなってればしょうがないが,ピアニストをわざわざ生きていた存在として登場させたのは失敗ではないか。 ラストの感動させようとする長ったらしい台詞回しも少々うんざりだ。

 しかしながら,エンリオ・モリコーネの音楽はいつものごとく心に響く。また,エンディングのタイトルロールで流れる曲を歌っているのが,ロジャー・ウォータース。その懐かしい独特の歌声に最も感動してしまった。
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