萌える闘魂

ファラオの恋の萌える闘魂のレビュー・感想・評価

ファラオの恋(1922年製作の映画)
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後期のルビッチ監督からは想像もつかないサイレント映画のスペクタクル史劇。完全なオリジナル・フィルムは紛失。欠落部分をスチールで補う形となっている。古代エジプトを再現した大オープンセットと屋内のセットの大きさに驚かされる。『ベンハー』『十戒』と比較しても全く見劣りしない点が凄い。現存するフィルム、スチールだけでも夥しいエキストラを動員したことがはっきりと分かるが、密集した群衆、行進、合戦等における数千のエキストラの配置と動かし方は何やらスペクタクルを超えて映像のエロスすら感じるほど陶酔感がある。これはスクリーンという「平面」を時間軸と共に如何に人で埋め尽くすかに異常なまでに固執しているとしか思えないルビッチ監督の映画美学なのかもしれない。