ゴン吉

砂の器のゴン吉のレビュー・感想・評価

砂の器(1974年製作の映画)
4.0
ハンセン氏病が絡んだ殺人事件の真相に迫る刑事を描いたヒューマンミステリードラマ。
原作は松本清張の推理小説。
野村芳太郎が監督を務め、橋本忍と山田洋次が脚本を、芥川也寸志が音楽監督を担当。
丹波哲郎が主演、森田健作、加藤剛、島田陽子、緒形拳、加藤嘉、笠智衆、渥美清らが共演。 

秋田県羽後亀田駅に二人の刑事(丹波哲郎、森田健作)が降り立ったシーンで始まる。それに先立つ昭和46年6月24日早朝に東京国鉄蒲田操車場構内で男の殺害死体が見つかっていた。やがて被害者は元警官(緒形拳)であることが判明し、彼が長年駐在所員を勤めた出雲の亀嵩に刑事(丹波哲郎)が聞き取り調査に行くが、被害者である元警官の評判はすこぶる良く、恨みを買うような人物ではなかった…   

原作は松本清張の同名小説で、本作はもとよりTVでも数えきれないほどドラマ化されている。
とても思いやりのある元警官がなぜ殺されたのか、昭和初期ならではのハンセン氏病が絡んだ事件で切なくて重いヒューマンドラマが繰り広げられる。
日本各地が舞台となり、各地の雰囲気も味わえる。
父と子の背負った宿命が哀愁を誘い、最後に伏線が回収されて見ごたえあった。 
クライマックスは本作のために菅野光亮によって作曲された交響曲”宿命”のオーケストラ演奏を絡めて父と子の長い旅路が綴られ哀愁を誘う。 
「しかし― 旅の形はどのように変わっても 親と子の”宿命”だけは永遠のものである」  

2024.4 BS松竹東急で鑑賞(デジタルリマスター版)  
モスクワ国際映画祭で審査員特別賞、作曲家同盟賞を受賞
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