Maoryu002

彼奴(きやつ)は顔役だ!のMaoryu002のレビュー・感想・評価

彼奴(きやつ)は顔役だ!(1939年製作の映画)
4.2
1920年代、戦争から戻ったエディ(ジェームズ・キャグニー)は職に付けず密造酒の製造、販売で裏社会の顔役となる。しかし、想いを寄せるジーン(プリシラ・レイン)が去り、仕事仲間のジョージ(ハンフリー・ボガート)と対立し、やがて不況により地位も金も失ってしまう。

「死の谷」「白熱」などの、ラオール・ウォルシュ監督によるギャング映画。

「犯罪王リコ」「民衆の敵」「暗黒街の顔役」といったギャング映画創成期の作品と比べて、娯楽性があって完成度が高い。これは間違いなく傑作だ。

原題「The Roaring Twenties」のとおり、1920年代前後のアメリカの歴史を知ることができるし、何でもありだったこの時代の華やかさと罪深さを見ることができる。
復員兵への冷たい対応なんかはベトナム戦争のときと同じで、歴史は繰り返すとはこのことだ。

悪の化身ハンフリー・ボガート、善の象徴ジェフリー・リン、そしてグレーというか微妙なバランスの上で葛藤し、時代に翻弄されるジェームズ・キャグニーというキャラクターが絶品!
戦争で出会い、それぞれに役割を全うしていく3人の配置とそれぞれの演技も素晴らしかったなー。

若く美しいプリシラ・レインも光ってて、彼女の歌 “Melancholy baby” や “It had to be you" も楽しめるんだけど、全てを見通し、エディを見守り、彼を想い続けたパナマというキャラクターの深みが、実はこの作品の肝だろう。
Maoryu002

Maoryu002