Ricola

神の道化師、フランチェスコのRicolaのレビュー・感想・評価

3.6
鳥にまで説教をしたという、自然を特に愛した聖人のアッシジのフランシスコと彼の弟子たちの逸話集をもとにした作品。

逸話集が原作なので、10の小話でこの作品は成り立っている。


フランシスコの教えが一応テーマとなっているが、それでもなんだかあまり深刻にならないのは、弟子たちがキャッキャ騒いでいて楽しそうだったり、寓話的な雰囲気が強いからかもしれない。
フランシスコ含め弟子たちも、実際のフランシスコ修道会の修道士たちが演じているからこそ、自然体なのかもしれない。

極端なクロースショットはほとんど用いられず、ロングショットが基本的に多い。
自然の中に馴染むフランチェスコや彼らの弟子たちを強調するようだ。

困難に立ち向かうとき舞う砂埃の重苦しさや、夜の暗さや太陽の光など、環境によってガラリと雰囲気が変わる。

聖フランシスコの教えの「完全なる歓び」の実践はかなり難しいと思うが、人に対する寛容さがその根本にはある。
さまざまな場での「完全なる歓び」の例を見て、ほとんど知らなかった聖フランシスコのことを知ることができる。

そういったことを知るだけでなく、おとぎ話みたいな雰囲気を楽しむことのできる作品である。
Ricola

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