教授

サニーサイドの教授のレビュー・感想・評価

サニーサイド(1919年製作の映画)
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公私共にチャップリンの「スランプ期」の作品(らしい)。
ただサイレント期のチャップリンの良し悪しについては、正直違いがよくわからない。まだまだ勉強が必要。

コメディ的な「笑い」についても、世代的であったり、国柄などについても、また個々の感性においても感じ方が様々でよくわからないが、朝食の準備の際に執拗にコーヒーに砂糖を入れるというクドイ演出についてはクスリと笑いが溢れる。
サイレントでもあって「動き」を重視した笑いであるが故、大きな動きで表現する明確なトボけギャグよりも、小さな動きで静かな笑いを作っているところはさすが。

ただ前半はこの調子で「ただ観ている」という感じだったのだが、チャーリー(チャールズ・チャップリン)の現代では言えばADHD的にも見える多動的な挙動と、意中の女性(エドナ・パーヴァイアンス)とのロマンスの件で都会から来た色男(トム・テレス)によって心が揺さぶられる展開はハラハラする。
色男の真似をして、正装し挙動を真似することで求愛し、失恋し、失意に暮れる。
そして車道に飛び出して、というところでカットが変わる。

ラストの「夢オチ」の解釈が開かれているところに、どこか不穏で絶望的なニュアンスが込められていて「失敗作」と言われるほど、コメディとは程遠い不可思議な作品。
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