カネコ

デッドマンのカネコのレビュー・感想・評価

デッドマン(1995年製作の映画)
3.7
初めて観たのは中学生か高校生のとき。ジョニーデップ目当てで観て当時は全く良さが分からなかった。
今なら分かるかもしれないと思って再鑑賞🎥

会計士のウィリアム・ブレイクが機関車で辿り着いた地獄の終着駅・マシーン。
町はバッファローの頭骨が所狭しと並び退廃と死のムードが漂っている。
ウィリアムの背後に棺桶屋が映り込んでいるのも今後の展開を示唆している。

色々な不幸が重なりお尋ね者となったウィリアムはノーボディと名乗るネイティブアメリカンと共に逃亡の旅に出る。

ノーボディは助けてくれるのかと思いきやウィリアムが自身の敬愛する18世紀の詩人と同姓同名だと知るとその魂を死へと導くためにその道先案内人のような存在となる。

“ノーボディ=誰でもない”は会計士から賞金首になってしまったウィリアム自身でもある。

ウィリアムは衰弱していくにつれて感覚が鋭くなるのか眼鏡を失くしても目が見えるようになり、手配書通りのガンマンに変貌していく。

とにかくジョニーデップが美しい。終始虚な瞳で退廃的な美しさ。モノクロなのでより際立って見えた。

90年代のジョニーは妹の恋人、ギルバート・グレイプ、ドンファンなどでも繊細な青年を演じていて他の俳優には無い個性があった。
繊細な中にも自身のルーツがネイティブアメリカンだからかワイルドさもあって、しかも当時の恋人はウィノナ・ライダーとケイト・モス。そのお洒落で破天荒な私生活含めて大好きだった。

閑話休題。
好きなシーンは森の中で子鹿の死体と寄り添うところ。
この映画は森の景色が全て美しいんだけどその美しい森と無垢な子鹿の死体と寄り添う死に向かっているウィリアム。
全てが完璧。
ウィリアムが自然とそして死を体感して受け入れているシーンに思えた。

ラストの小舟で冒頭の機関士の言葉とリンクする。

頭の中の水は 景色のように動いている
 不思議なのは 景色が動いていて
 どうして船は 静止しているのか

他にも好きなシーンいくつか。
紙細工の花売りと痴情の絡れに巻き込まれて2階の窓から飛び出すシーン。
紙の薔薇が散らばり流れ星が流れて最悪な状況なのにやたらロマンチック。

凄腕の殺し屋がぬいぐるみと眠る所も好き。

中学生の頃よりは好きになれた映画だった。
ただ詩人のウィリアム・ブレイクを知らなかったので知っていたらもっと楽しめると思った。
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