似太郎

自転車泥棒の似太郎のレビュー・感想・評価

自転車泥棒(1948年製作の映画)
4.6
戦後を代表するイタリア映画でネオレアリスモの金字塔。時に冷徹に、時に優しく庶民の哀歓を綴ったドキュメンタリー・タッチの作品。子役が最高に上手い。そして可愛い。

虚飾を一切払った映像が素晴らしく、ヌーヴェルヴァーグに近い透明感を感じる。トリュフォーにも影響を与えていそうな一貫して「子供の視点」で戦後の混迷を描いた作品になっている。

貧乏で、仕事がない…というニッチもサッチもいかない労働者の親父の流す涙をいつまでも忘れまいとする子供の無垢な表情が泣かせる。全く救いのないラストで惨めな気持ちになる。あゝ無情。

底辺層の描写があまりにもリアルで、戦争のもたらした傷痕を容赦なく描いたデ・シーカ監督の一世一代の名作。街並みやロケの的確さがこの監督らしく並外れたセンスを感じさせた。😭
似太郎

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