たまち

カサンドラ・クロスのたまちのネタバレレビュー・内容・結末

カサンドラ・クロス(1976年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます


・全部をまとめきらない潔さが良い!このあとどうなったのかなぁ?くらいで良いんだと思った。尾行のつけられているらしい?博士と大佐は無事なのか?Jenniferはまたこの顛末を本に書くのか?と想像のふくらむ。発端となったテロリストたちの目的などは明かされない不気味さ(世界情勢を鑑みたらわかるもの?)。続編には期待しない。

・同時にいくつもの施策を打ち、うまくいくものも、ダメなものもある。大円団じゃない、全員は助からないエンディングは少しショッキング。タワリングインフェルノと被る。人災との闘いには迷いながらも常にベストを目指して突き進むしかない。


・当時の流行りなのか、長回しの空撮で追う、雪山、海、木々、ジュネーヴの街。白い床にカラフルな国旗やラインの世界保健機構。美しい映像。

・合成感や、こうやってとったのかなと想像させる粗さはあるものの勢いがよくあまり気にならない。
・何度も事前に映されるカサンドラクロス。不穏にキィキィと音を立てる無骨な橋は迫力がある。


・少し歳だがハリスの理知的な目はインテリヒーローという感じ。ちょっと珍しい夫婦像な気もする。ここから25年もたってダンブルドアに進化するのも納得…。ハリスはP.オトゥールと親友だそうな。

・ソフィアのJenniferはセクシーだけど少し頭が足りない…という描かれ方かと思いきや、まさに看護師顔負けの現場対応力。細眉、濃いまつ毛、ヌーディな唇。細眉の方が意外と優しく見える。
ファッションの美しさも流石で、襟付きのワンピースが格好良くて、列車に飛び乗ったはずなのに服を色々変えてるのは目を瞑るところ。

・ニコールの王道マダム感!どっしり構えて曲者に見えたが、実は無邪気に愛を信じていたり後半は動揺していたりと人間らしい。

・ナバロは流石に犠牲になるかな?と思った。常におびえた表情が印象的。愛すべきキャラクター。

・ユダヤの生き残り・ヘルマンは泣かせる。ヒッピーのために自販機開けたり初対面の博士の財布をするいたずら妖精のようなご老体。具体的に言わなくても背景を予測させるキーワードに欧州に深く残る戦争の傷跡を見る。恐ろしい地にとどまらずさらに半数近くの乗客を助けたのだから、成仏してほしい。

・やけに存在感の大きかった、スタイルの良い歌うヒッピーガールはハリスの妻らしい。どうりで。

・別会場の3人、動きはほとんどないので会話劇だけ、息の詰まるような白い部屋で大佐の抑えた演技が不気味。最後まで隠蔽と人命のどちらを考えているか微妙なところだった。博士も美人で贅沢なキャスト。

・人間がどれだけ死んでもワンちゃんネコちゃんは助かるのが映画の常識。ほっとした!

・女の子の目の前で主人公キスしてるけど、お前の母ちゃん死んでるよ…きつ…
たまち

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