オーウェン

ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎のオーウェンのレビュー・感想・評価

4.3
この映画「ヤング・シャーロック ピラミッドの謎」は、探偵小説史上、最も有名な名探偵シャーロック・ホームズの若き日の大冒険を描いた映画です。

もちろん、原作にはない映画用のオリジナルで、製作総指揮がスティーヴン・スピルバーグ、監督が「レインマン」「ナチュラル」のバリー・レヴィンソン監督、脚本が「ホーム・アローン」「ハリー・ポッターと賢者の石」の監督でもあるクリス・コロンバスによる作品です。

霧に覆われた、暗く陰鬱な都市ロンドン。そのロンドンで、謎の吹き矢で名士たちが次々と狂死してしまう事件が起こります。
連続殺人事件、そして、その犯人はいったい誰なのか? そして、何が目的なのか?。

ロンドン市中に隠されたピラミッドの恐怖を、若きシャーロック・ホームズが追いかけ、その謎を解明していくというストーリーだと聞いただけで、ワクワクしてくる映画です。

この映画は、まずホームズの生涯の友となるワトソンとのパブリック・スクールでのめぐり合いの場面から始まります。
そして、ホームズの推理が、決して超人的な飛躍を見せるのではなく、かなり理詰めで現実的であったという事を、ワトソンとの交流と日常生活上の小さな謎解きの中で語っていきます。

そのホームズが初めて遭遇した大事件。
シャーロック・ホームズの原作者のコナン・ドイルが書かなかったホームズの若き日の事件を、ホームズならこういうように謎を解明しただろうという、いわば、ホームズの行動原理を推理しながら謎解きをさせるという二重構造の面白さが、この映画の最大の見どころなのです。

この映画が成功したのは、オリジナル脚本の、人間への優しく、温かいまなざしにあったのだと思います。
我々の知るホームズは、いささか完璧すぎて、人間としてエキセントリックで、とっつきにくい面がありますが、この映画での若きホームズは、激しく、美しい恋もするというような人間らしさを持っています。
この事が、作品全体をより人間らしさに包まれた優しく、明るい雰囲気を醸し出しているのだと思います。

また、この映画のもつスピーディなテンポの良さは、何と言ってもバリー・レヴィンソン監督の演出の腕だと思います。
ホームズとワトソンが手製の飛行機で飛ぶ、クライマックスの胸がワクワクするような快調なテンポは、まさしくヤング・シャーロックにふさわしい楽しさに満ち溢れています。
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