ハンスウ

汚れた顔の天使のハンスウのレビュー・感想・評価

汚れた顔の天使(1938年製作の映画)
4.5
** ネタバレもちょこっと書いてます **

前に1回観たことあるんだけどもう1回観たいと思ってる映画はかなりたくさんあって、これはそのうちの1本でした。テレビの深夜放送か何かで観たんですけど、その後、観る機会がなかなかなかったけどU-NEXTで観れました。映像がかなり悪かったですけど。

これはジェームス・キャグニーの主演作ということで主人公の強烈なキャラが全面に打ち出されているのが印象的ですが、この監督はよく名前を知らなかったですけど「カサブランカ」の監督でした。「カサブランカ」が1番の成功作で有名ですかね。あとはデニーロとショーン・ペンの共演でリメイクされた「俺たちは天使じゃない」というのもあります。

ということでキャグニーです。演技がめちゃくちゃうまい俳優ですな〜。往年のギャング役の代名詞みたいな人ですけど、「スカーフェイス」のアル・パチーノのセリフにも出てくるんですよね。「スカーフェイス」劇中でキューバからアメリカに渡ってきて後に麻薬王になる悪党のアル・パチーノが尋問されるシーンがあって、英語をどこで覚えたんだ?と聞かれると「映画で覚えた。ボガードやキャグニーから習ったんだ」っていうんですよね。ボガードもギャング役をたくさんやってるから、悪そうなヤツの名前をズラッと並べておどけて見せるというシーンでしたけど。本作はまさにそんなキャグニーとボガードがたぶん1番最初に共演している作品でもあります。たぶん😅

ストーリーは子供の頃から親友どうしで大人になったらそれぞれまったく対極にある別々の道に進んだ、という話がよくありますよね。そんな感じ。貧しさが原因で子供の頃から2人で悪さをしてたんだけど1人は神父、もう1人は刑務所の出入りを繰り返しているようなギャングになってしまう。そのギャング役がキャグニーです。

このキャグニーが個性が強い人で見ていてとにかくおもしろいんですよ。ただ歩くだけでも個性が出ていておもしろい。それに器用で何でもこなせそうな感じがします。素早い動きで切れ者ギャングを自分で演出するかのように動いてセリフを喋る。大スターハンフリー・ボガードを脇に押しのけてしまうほどの存在感があって、あの小さい体のどこにそんなパワーがあるんだろうと思わせられます。

ラストはさらに罪を重ねたキャグニーが死刑になるんですけど、前に観た時はこのシーンでボロ泣きした覚えがありますけど、これ、特に男の子はだいたい泣いちゃうかもしれませんねぇ。今回観てみたらさすがにボロ泣きではないけどやはりジンワリしていまいました。モノクロだけに光と影をいかした想像力をかき立てる演出も素晴らしい。このラストで邦題の意味がわかるようになっています。興味のある方はぜひ 🙂
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