しゅうへい

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャンのしゅうへいのレビュー・感想・評価

3.5
『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(2024)
原題:Catch Me If You Can

「本物の偽物を描いた真実のドラマ。」

■1960年代。高校生のフランクは両親の離婚をきっかけに家出。生活のため小切手詐欺に手を染めるがなかなか上手くいかない。ある時、パイロットになりすませば簡単に人を騙せることに気づいた彼は、各地を飛び回りながら小切手の偽造を繰り返すように。やがて、FBIのベテラン捜査官カールが捜査に乗り出す。

■実在の詐欺師フランク・アバグネイルをモデルに、パイロットや医師になりすまして巨額の詐欺を働いた若き天才詐欺師と、彼を追うFBI捜査官が繰り広げる追跡劇を軽妙なタッチで描く。

「Catch Me If You Can」
=できるもんなら捕まえてみろ

家族関係修復の為に嘘をつき続けるフランクと堅実に事件を追い続け信頼を勝ち取ったカール。天才と努力家。因縁の相手であり、良き理解者である彼らはまさに対照的。誰も信用できなくなった青年にそっと手を差し伸べたのは…。なんて奇妙で皮肉な絆。“ルパンと銭形”、“夜神月とL”のような関係性が面白くないわけがない。

レオ様に華麗な詐欺師は適役。パイロット、医者、弁護士…嘘も突き詰めれば真実になりかねない、そう彼ならば。フランクに時代が追いついていなかった。法整備もままならない時代で、ただ彼は何枚も上手だっただけ。いつの時代のレオ様も抜きん出た才能を持つ二枚目、とにかく平凡が似合わない。

今作父親を演じたクリストファー・ウォーケンがイチオシ。地位も名誉も勲章も、そして美しい妻も手に入れた誇り高き退役軍人であり、家父長制を体現したような人物像。そんな父親を心から尊敬している主人公は、父の名誉の失墜や、母が離れていく事実に耐えられずにいた。でも、彼はどれだけ苦境に立たされても、息子の前では厳格でたくましい父親には変わりなかった。

幼少期に少しだけ観た、観た気になってる名作がいっぱい…。この手の大作に限って想いが溢れすぎて逆に上手く書けないパターンです。スピルバーグ作品は安心安定の傑作です。
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