本好きなおじぃ

スパルタカスの本好きなおじぃのネタバレレビュー・内容・結末

スパルタカス(1960年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

奴隷として幼少より働き、しかしその境遇に不満を抱いていたスパルタカス。あるとき、強さを見込まれて買われていったスパルタカス。そこでは、たくさんの男性が、剣闘士として特訓を受けていた。剣闘士は、貴族の求めに応じて闘わされるのだった。
その場所で剣闘士は、ときどき女性をあてがわれるが、スパルタカスは拒否する。それを知った、気丈に振る舞う女性・ヴァリアと心惹かれあう。
あるとき、剣闘士としてスパルタカスは負けそうになるが、相手が貴族に反旗を翻して貴族を殺そうとし、その貴族に殺されてしまう。
そしてその貴族・クラッサスにヴァリアが買われてしまい、恋していることを知っていた剣闘士養成場の男に煽られたスパルタカスは、反抗し殺そうとして、その様子を見た奴隷たちも次々に反抗。やがて、そこにいる奴隷たちで養成場の運営者や守衛らをも倒し、クーデターとなる。
スパルタカス率いる奴隷たちは、各地域を回り街を襲い力をつけていく中で多くの奴隷を仲間にしていき、スパルタカスを筆頭に軍として成長していく。
あるとき、道中である女性を見つける。ヴァリアだった。売られたはずのヴァリアとそこで出会い、スパルタカスはすかさず連れていく。
一方そのころ、ローマの元老院では、クラッサスの親友・グラブラスが、スパルタカス制圧に名乗りを上げる。しかしそれはクラッサスと敵対するグラッカスの策略でもあった。スパルタカスは、そのグラブラスが侵攻してくると知り、返り討ちにする。
スパルタカスは、イタリアを脱出するため海賊の船を買い取ろうとするが、グラッカスによって阻止されてしまうが。

日本語版のソフトもあるようだが、レンタルショップで借りたDVDは字幕版だった。しかし、比較的平易な英語なので、字幕を追っていても耳に入りやすいだろうと思う。
貴族が奴隷を使って労働させたり剣闘させたりする描写が生々しく、特に殺してしまうシーンは血も噴き出るので見る人によっては注意されたいが、具体的な相手の殺し方を指導しているシーンもあり、とてもリアリティがある。
「スパルタカスが守衛の足を噛む」という評判で買った奴隷の横暴を許してしまう、という点では、まさに飼い犬に手を嚙まれる状態の貴族たちだが、最終盤でローマ軍とスパルタカス軍勢とが相まみえる時、わたしたちは何を思うだろうか。
貴族たちの用意した見た目も均一で強そうな軍勢に対し、スパルタカス軍勢は女子供や強くなさそうな男衆が布切れに剣を持って立ち尽くす姿。スパルタカスの想いにほだされ、自由を求めて集った人たちが彼らの自由を達成するために戦わんとするその姿が目に焼き付いて離れない。

脚本のダルトン・トランボは赤狩りの対象となったことから、いろいろな思いをこの映画に込めていると思われる。それでも、決して奴隷(民衆)にとってプラスでない結末を用意したのは、お涙ちょうだいの物語にしたい意図以外にも、当時のアメリカに対する想いを込めたと考えるのが自然だろう。

自由を生きる私たち一人ひとりがこの映画をどう解釈するかは自由だが、スパルタカスが劇中で残している、闘いがおろかである、という言葉だけは忘れてはいけないなと思う。