とら

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ栄光のヤキニクロードのとらのレビュー・感想・評価

4.4
スコア4以上の作品はまた見たい作品です。
オトナ帝国→戦国大合戦と奇跡の名作2作品が続き、上がりきったハードルを、跳ぶのではなく潜り抜けたような傑作です。ちょうど監督が交代された作品でもありますが、前2作はクレしん世界観としてはアウトギリギリまで踏み込んでおり、このタイミングで方向性を戻さないと、逆にクレしん映画シリーズ自体が食傷気味になってしまったかもしれません(次作であるカスカベボーイズはやや前2作のような世界観に戻したような印象を受けましたが…)。その意味で、本作は映画シリーズを「クレしん」の世界に戻してくれた傑作だと思います。

クレしんの劇場版は、基本的に日常と非日常(=劇場版ならではの要素)のアンバランスな行き来を楽しめるのですが、前2作品が非日常へ大きく振り切った中、本作はあくまで「家に帰って焼肉を食べる」という目標のもと、日常の延長線として展開しつつ、その舞台が現実日本というリアリティを持っているバランスが魅力です。どこかしら、暗黒タマタマや、温泉わくわくを思い出させるようなリアリティです。

目的地到着後はややダレた印象は受けますが、それはこのタイミング以降に急に非日常を詰め込んだことによる弊害だと思います。とはいえ、映画を終わらせるにはその選択肢しかなかったのかもしれません。

ギャグ描写が多く、その打率も大変高いです。テンポも良く、今観ても楽しめます。
ぜひ、家族や友達と観て、焼肉を食べに行きたくなりましょう。もしくは熱海に行きたくなりましょう。(個人的にはエンディングが曲も含めて劇場版クレしんでのTOP3に入るくらい好きです。No.1はカスカベボーイズです!)
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