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グエムル -漢江の怪物-のHAYATOのレビュー・感想・評価

グエムル -漢江の怪物-(2006年製作の映画)
3.5
2024年145本目目
『パラサイト 半地下の家族』でアカデミー賞4冠達成の快挙を成し遂げた鬼才・ポン・ジュノ監督による怪獣映画
漢江から突如上陸した正体不明の凶暴な怪物(グエムル)は、河原の人々を捕食殺害した後、露店の男・カンドゥの娘・ヒョンソを捕まえて水中へ消えた。韓国政府は、怪物が伝染病ウイルスの宿主であるという声明を発表。怪物と接触したパク一家は、ウイルスに感染している可能性が高いとして病院に収容される。ヒョンソの生存を信じるカンドゥは、家族と共に病院を抜け出し、自ら怪物に立ち向かうことを決意する。
キャストは、ソン・ガンホ、ピョン・ヒボン、パク・ヘイル、イ・ジェウン、キム・レハ、パク・ノシクら同監督作の『殺人の追憶』キャストが勢揃い。その他、『ベイビー・ブローカー』のペ・ドゥナ、『ビューティー・インサイド』のコ・アソン、『アシュラ』のユン・ジェムンらが出演。
つい先日、ソウルに1億8000万ウォンを費やして建てられた「漢江の怪物」オブジェが撤去される方針だというニュースを目にしたので、その怪物が登場する本作を見てみた。
怪物のデザインを決めるのに2年6ヶ月を要し、怪物を劇中で活躍させるために約6億円の費用がかかったといわれる。キャラコンセプトは「憎めない悪役」で、竹中直人さんやジャック・ブラック、スティーヴ・ブシェミなどをイメージして作られたそう。そんな「憎めない?」怪物は序盤から大暴れ。河川敷に襲来する冒頭のシーンが1番見応えがあると言っていいくらいで、素早い動きで次々と容赦なく人々を襲っていく様は、甚だ恐ろしかった。
物語にはポン・ジュノ監督作品らしく社会風刺的な要素が込められており、怪物が生まれた原因は、在韓米軍が大量のホルムアルデヒドを漢江に流出させた「龍山基地油流出事件」を想起させ、作中に登場する「エージェント・イエロー」という化学兵器は アメリカ軍がベトナムで使用した枯葉剤「エージェント・オレンジ」に掛けられている。
世の中を震撼させる大きな出来事を、1つの「家族」の視点で描かれいるのが特徴的で、どことなく『宇宙戦争』っぽさを感じた。パク一家の面々は個性豊かで面白く、ユーモアと緊迫感を同居させているところがとても良かった。
ポン・ジュノが『パラサイト 半地下の家族』以来、初めてメガホンをとったロバート・パディンソン主演の『Mickey 17』の公開が待ちきれぬ。
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