オーウェン

アウェイ・フロム・ハー 君を想うのオーウェンのレビュー・感想・評価

4.5
この映画「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」は、アルツハイマー病に冒された妻を、老後介護施設におくる夫の心境を描いた作品。

カナダ、オンタリオ地方の雪の世界。
そこに、老後の生活をおくる夫婦にも静かに試練が訪れる。
美しい雪も春の暖かさで、少しずつ消えて行く。
フライパンを冷蔵庫に入れてしまう妻。

ジュリー・クリスティは、この老妻の演技で、アカデミー主演女優賞にノミネートされました。

ごく自然に淡々とした生活だが、確実に彼女の記憶も雪のように消え出した。
黄色い花を見ても色彩がわからない--------。

サラ・ポーリー監督は『死ぬまでにしたい10のこと』などに出演した若い女優だが、この作品では、カナダのベテラン先輩陣のバックアップもあって、非常に繊細な人間ドラマに仕上げていると思う。

誰もが迎える老後の変化。避けられない現実だが、人間の知性は、どうしたら感情や記憶をコントロールできるのか。

この作品の凄さは、人間への最後の原罪として、その人生の過去の償いを清算しようと迫るところだ。

介護しようとした夫の愛を拒む妻。ストイックだが、ベルイマン映画のような厳しさを感じましたね。
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