椿本力三郎

ゲームの椿本力三郎のレビュー・感想・評価

ゲーム(1997年製作の映画)
4.1
マイケル・ダグラスとショーン・ペンという剣豪によるバチバチの立合を見たような気がした。
「レインマン」のダスティン・ホフマンとトム・クルーズのように。
彼らのレベルになると共演じゃなくて決闘だろ、決闘。
作中でお互いが引き出し合い、高めあっている姿をまさにそれを観客に見せているような。台本を読んでこない勝新太郎やマーロン・ブランドの役者としてのあり方は、「映画における演技は決闘」説を考えると正しいのかもしれない。
共演者と監督とスタッフとも決闘する。
まず「ウチ」にそういう決闘感がないと社会や常識と決闘するような、突き刺してくるような映画を残すことは出来ないのだろう。
単なる決闘ではなく、バチバチの決闘。
喧嘩では生ぬるい。まさにやるか、やられるか。
「ゲーム」のショーン・ペンが素晴らしいのは脇役としてポイントポイントしか登場しないものの、しっかり爪跡を残していること。
「自分に誠実すぎてアウトローとしてしか生きられない」役をやらせると天下一品。
アウトローに落ちるキワキワのところで社会に踏みとどまっている危うさと儚さ。