福福吉吉

グッドモーニング、ベトナムの福福吉吉のレビュー・感想・評価

3.5
◆あらすじ◆
ベトナム戦争下の1965年、ベトナムのサイゴンにある米軍の放送局に兵士の士気高揚のためにDJとしてエイドリアン・クロンナウアー(ロビン・ウィリアムズ)はやってきた。クロンナウアーの型破りな放送は上官の批判を浴びながらも兵士の間で人気になっていく。

◆感想◆
ベトナム戦争下のベトナムのサイゴンで新しいDJとして赴任したクロンナウアーが放送を通じて兵士たちを応援するとともにベトナムの人々とも交流し、また、戦争の冷酷さを経験した期間を描いた作品であり、戦場のシーンは少なく、サイゴン市内のアメリカ兵とベトナム人の姿をありのままに描いているように感じました。

本作はエイドリアン・クロンナウアー役のロビン・ウィリアムズの演技なくしてあり得ない作品となっていて、ジェスチャーを加えながら色々な声を使い分けてトークを続ける姿は観ていて楽しいです。それでいて、クロンナウアーはベトナム人女性に惚れて追いかけたり、英語教室の教師をしたりと自由奔放で戦場であることを忘れてしまいそうでした。

一方、軍隊という組織を感じさせる存在としてディッカーソン曹長(J・T・ウォルシュ)とホーク少尉(ブルーノ・カービー)がいて、規則を破るクロンナウアーに叱責し続けます。上下関係と規則を殊更に重きを置く2人の上官の存在がストーリーに起伏を生んでいたと思います。

クロンナウアーに戦争を強く印象づけた事件として、バーでの爆破テロと戦地での取材の一件が挙げられると思います。バーでの爆破テロは偶然、バーを出たところで爆発しており、クロンナウアーはショックを受けて呆然となります。その後、その事実を放送できないことに嫌気がさしてクロンナウアーが暴走する姿も印象的でした。戦争に限らず目の前で人が死ぬことの衝撃は凄まじいものがあります。一方、戦地での取材は危険を承知で上官が許可しており、ディッカーソンがクロンナウアーを殺そうとする意志を示した一件であり、ディッカーソンの怖さを感じました。

本作ではアメリカとベトナムの違いを強く印象づけるものになっており、アメリカが上から与えようとする姿勢に対してベトナムが本当にそれを望んでいるのかという部分を感じました。

クロンナウアーは本当に戦場では異質な存在として輝いていて、実在の人物だと知って驚きました。途中まで楽しくて、そして最後は少し寂しい感じになって観終えました。面白かったです。

鑑賞日:2024年2月24日
鑑賞方法:NHK BSプレミアム
(録画日:2023年5月30日)
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