福福吉吉

ライド・ライク・ア・ガールの福福吉吉のレビュー・感想・評価

4.0
◆あらすじ◆
ミシェル・ペインは10人兄弟の末娘として生まれ、幼い頃に母を亡くして競馬調教師の父のもとで馬に触れながら成長した。ミシェルは騎手になり、女性不利の競馬界で僅かなチャンスをもぎ取ろうと奮戦するが、レース中に落馬して重傷を負ってしまう。

◆感想◆
ストーリーの描き方として、限りなく史実に近くしようとしているために必要以上に脚色せず淡々と描いており、ミシェルが経験した喜怒哀楽を素のままで感じられました。

ミシェル(テリーサ・パーマー)は幼い頃から競馬に触れて生活しており、騎手になるべくしてなった人物のように感じました。彼女の「騎手しかない」という思いは人生で一貫しており、彼女の覚悟の強さを象徴していました。

父(サム・ニール)は幼い頃からミシェルの面倒を見ており、競馬についても事細かに教育していて、愛情の深さと競馬に対する真剣さを感じる人物でした。騎乗機会の増加を求めて二人は袂を分けるのですが、その後も娘のレースはチェックしていて、頑固だけど愛情の深い父として、そして競馬の先輩として娘と接していたように思います。

本作では競馬界での女性騎手への差別が横行していて、競馬関係者が男性しか相手にしない状態になっていました。ミシェルはこれ以上ない差別を受け続けるのですが、彼女がそれに負けずに立ち向かい続けた姿は人として尊敬したく思いました。

ラストは分かっていても気持ちの盛り上がりが止められませんでした。

ミシェルのダウン症の兄としてスティービー・ペインが本人役で出演しており、彼の演技がとても素晴らしく、間違いなく本作の良さを一段上に引き上げていました。

とても面白い作品でした。どんな世界でも歪んだ常識に風穴を開けるのは強い信念なんだと実感しました。

鑑賞日:2024年4月16日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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