福福吉吉

ブレードランナー ファイナル・カットの福福吉吉のレビュー・感想・評価

3.5
◆あらすじ◆
タイレル社によりレプリカントと呼ばれる人造人間が発明され、全てにおいて高い能力を持つレプリカントは宇宙で労働力として活用されていたが、レプリカントが人間に反旗を翻したことにより、レプリカントを抹殺する警察「ブレードランナー」が発足する。リック・デッカードはブレードランナーとしてロサンゼルスに逃げ込んだレプリカントの抹殺に動く。

◆感想◆
1982年の作品にして群を抜く近未来的世界観は現代でも十二分に通用するものになっていて、ストーリーのテンポは緩やかながら映される世界の独自性で観る者の心を奪う作品となっていました。

ストーリー自体はリック・デッカード(ハリソン・フォード)がロサンゼルスに潜伏したレプリカントを捜索するというシンプルなものになっており、凡庸なものだと思います。しかし、そこにレプリカントという存在の難解さ・残酷さが加わることにより、独自性が生まれていて面白くなっていました。

主人公のリック・デッカードはブレードランナーを辞めた人間でしたが、元上司に強制的に復帰させられます。なぜリックが辞めたのかなどリックの内面についてもっと知りたかったです。そして、人間より能力の高いレプリカントを人間に追わせるストーリーに少し無理があるように感じました。せめてスタローンとかシュワルツェネッガーぐらいでないと勝てない気がします。

レプリカントは外見上、人間と変わらないために人間社会に潜伏されると見分けがつかないという特色があって、それをブレードランナーは質疑を繰り返すことでレプリカントを判別できるという点が面白かったです。
本作のレプリカントやクローンのように外見上、人間と同じ場合、どうしても周囲の人間はその者に情を抱くことになると思います。レプリカントを人間と同じ外見にしたのは人間のエゴであり、人間の欲望のままレプリカントを生み出してしまった以上、本作の逃げるレプリカントたちが抱く生への欲求を拒否する人間の残酷さを感じずにはいられませんでした。

本作で描かれる世界で、「強力わかもと」の看板や道路を行きかう人々から聞こえてくる日本語など、日本の要素が度々入っていて、とてもユニークに感じました。

なかなか面白かったと思います。とにかく世界観だけで満足感の得られる作品でした。

鑑賞日:2024年4月18日
鑑賞方法:CS WOWOWプラス
(録画日:2023年8月19日)
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