みむさん

ティアーズ・オブ・ブラッドのみむさんのレビュー・感想・評価

3.8
「レ・ミゼラブル」「バティモン5」の脚本家ジョルダーノ・ジェデルリーニの監督作。
アントニオ・デ・ラ・トレの魅力と演技のおかげもあって王道でも悲哀漂い派手さ無くても面白い、哀しき父のクライムノワール。舞台はブリュッセル。

アントニオがとにかくかっこいいので彼のファンはたまらない。体を絞ったのもあいまって(9キロ絞ったらしい)、ひたすら美しかった「カニバル」とはまた違ってズタボロでも髭ボーボーでもかっこいい。

じっくり演技派かこってりコメディの印象強い(マッドなピエロもあった)けど、こういう役も良いなぁ。

共演にオリヴィエ・グルメとオゾン監督「17歳」で主演のマリーヌ・ヴァクト。

アントニオ・デ・ラ・トレとオリヴィエ・グルメの名優二人の肉弾戦はわりとレアだと思う😁
この二人にやらせるとは😵

ベルギーに住むスペイン人の地下鉄運転手レオが疎遠な息子の自殺を最悪な形で目撃する、ショックすぎる設定。あれは辛すぎる。
銃弾を受け自殺に至るまで何があったのか、お父さんはプロ顔負けのリサーチ力(りょく)で真相に近づいていく話。

リーアム・ニーソンがやりそうな映画だなと思ったりもしたが、あそこまで年寄りでもないし、あそこまでゼェゼェしてない。かといってリアリティ無視した超人的アクションをやるわけでもない。

あまりスペイン人である必要がない気もしたが(見落としたかも)、息子の自殺の背景の悪事とレオの過去も絡んで面白かった。
既視感はあるし王道でもあるんだけど、謎解きでもアクションでもないので、全てを説明する必要もない。
終わっても哀愁漂う。俳優の力が大きく寄与していた。

とにかくアントニオの魅力。鑑賞済の出演作の中では上位のかっこよさ。

ジョルダーノ・ジェデルリーニ監督はチリ出身でスペイン語話者なのでアントニオの出演作をたくさん観ていたそうだ。それでオファーしたんだろうね。

Thanksクレジットに元フランスサッカー選手ジャン・カスタネダの名前があってニヤリ。

各国のタイトルがどれも内容を表していて興味深い。

邦題は文字通りに血の涙(というより充血・血眼って感じ)の主人公の姿かな。
原題Entre la vie et la mort(生と死の間)→まさにレオの心身状態、レオが生気を失ってゾンビみたいになりながら捜査
英題on the egde(イライラ、ピリピリ、崖っぷち、端っこ)→レオが切羽詰まる様子&息子の最期
独題Die Mörder meines Sohnes(息子を殺した犯人たち)→まさにそのものズバリ
ポルトガル語(ブラジル)題O Maquinista(機械工、機械運転士)→レオの職業

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