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見知らぬ人の痛みのmmmのレビュー・感想・評価

見知らぬ人の痛み(2022年製作の映画)
3.9
生徒からいじめを受け、中学教師を辞めた倫子。
求人情報から、たまたま見つけたのは
コンテンツ・モデレーターという仕事だった。

コンテンツ・モデレーターとは
インターネット上の各コンテンツに
不適切な内容がないか
監視・管理をする仕事のことだそう。
(※個人調べなので、詳しくはご自身で調べてみてください)

劇中では、卑猥・残虐性のある画像・動画を
ひたすら削除し続けるのが彼女の仕事のようで
想像するだけで、精神的に堪えますが、
彼女はその動画に映る人々の人生を想像し
ノートに記録するようになります。

国内外問わず残虐性の高い事件や
紛争が起きて絶えることがありません。
ゆえ(特に仕事としてであれば)
いちいち受け止めていたら心身が
持たないという上司の考えも、
疑似的でも、画像で見かけた見知らぬ
誰かについて、想像しノートに
書き留める倫子の行動も
どちらが正しい・間違いということは
ないと思います。

ただ、他人事を自分事として考えてみること
現代において、とても大切なこと
なのではないかと考えます。

短編ながら、ずしりと重みのある内容で
正直、短編だからできる表現なのかなと思ったり。
なお、劇中では、実際の残虐な映像
というものは一切出てきません。
(心配されている方、ご安心を)

撮影も、役者さんに負荷のかからぬよう
配慮されていたり、倫子の生い立ちなどに
関するサブテキストが存在するようで、
大西さんがどのように受け止め、
倫子を作り上げていったのかも
気になるところ。

極端にいえば、「思いやり」について
考える時間になるのではないでしょうか。

現在は、東京・大阪のみの公開ですが、
上映館はこれから広がるようですので、
気になった方の元に届いて欲しい作品です。

※直接的な表現がされていませんが、
共感性の高い方、感情移入しやすい方は
心身調子のよい時の鑑賞がおすすめです。


◆独り事
倫子の行為はプロテストではないかもしれませんが、
どことなく、アメリカンユートピアの中で演奏された
ジャネール・モネイ「Hell You Talmbout」と
重なりました。
mmm

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