終電を寝過ごし、深夜の街を歩いて帰宅する女性を描いた本作。あくまで個人の感想だが、テーマなどの全体的な映画の締まり具合？は『Here』の方が洗練されてると思った。しかし、本作には別の魅力がある。それは夜。映画館という空間と夜の相性が良いことは過去の名作たちが証明していることですが、本作でも深夜のベルギーが非常に魅力的に撮られている。また、夜というのは、街が「昼」とはまた違う側面を見せてくれる時間だとも思う。本作で主人公が出会う人々は、そうした、昼には見られない（あるいは顧みられない）存在で、それ故に非日常なのだ。そこで描かれるのは特異なものではなく、それぞれのちょっとした助け合いや話し合いといった交流、そして普段は見せない娘の別の顔。本作も、『Here』と同じく、そこで生きている人々の映画だった。
