まぬままおま

ヘル・レイザー 4Kデジタルリマスター版のまぬままおまのレビュー・感想・評価

4.0
「呼ばれて来たぞ」
こわいです。

恐怖の「つくりかた」が本当に上手いし凄いし恐ろしいし素晴らしい。
人間の身体を獲得する前のフランクの造形とかどうやってるんですか。
しかも家はぶっ壊されるし、病室と魔界が繋がるなんて想像できないじゃないですか。
虫もネズミも気持ち悪いし、魔道士も気持ち悪い。でもそれが最高だ。

以下、ネタバレ含みます。

物語の主題も面白い。
「快楽と痛みは表裏一体」
本当にその通りだし、殺意と好意も表裏一体だ。

ジュリアは夫と平凡だけど平穏な生活をしている。しかし過ってしまう。かつてのフランクとの情事を。あの悦びを。情熱を。その快楽を思ったら、日々は苦痛だ。好きでもない夫と一緒にいるなんて。そして尚更、フランクが現れてしまったら。それならたとえその姿が恐ろしくても、快楽を再び得られるなら生け贄を準備し、殺すことにも従ってしまうだろう。

しかし快楽が永遠に続かないように、彼女の行為は既に破綻している。では彼女はどう殺意と好意に折り合いをつけるのかと展開を期待していたが、彼女はあっけなく殺されて主人公は娘のカースティに変わっていく。本作はカースティの物語なの?と驚きつつ、主題そっちのけのアクションシーンで、フランクを生け贄返しにして魔道士を封印する。恋人と協力して、親がいない世界を生き始めるほど成長したのだからいいんでしょう。こわかったから問題なしです。

しかしホームレスのおじさんは誰なのか全く分からないし、4人目の魔道士は封印できていない。その謎を探るべく続編に向かったのであった。

別稿
主題そっちのけの物語展開は大林宣彦の『HOUSE ハウス』を彷彿とさせる。こちらもこわい演出は抜群に上手くて面白いから好きな作品のひとつだ。あと類似点は、フィルムに直接「光」などの描写を書き込む点。正式な手法名をぜひ知りたいところだ。そして本作は1987年制作で、『HOUSE ハウス』は1977年。この時代に流行ったものなのだろうか。というか大林作品は10年も前につくられていたのか。凄い。