散々な目に遭った現在。通常の音と「逆再生」のような響きの音を交えた音楽が、主人公を過去へと導いていく。
カラフルでまさに"青春"な18年前と、無機質な色合いの中で足をゆっくり進める現在の見事な対比。しかし決して無機質な現在がずっと殺伐としているわけではなく、むしろ"真っ白"が映えたり、落ち着いた情緒や"停滞感"もまた味だと思わせてくれる撮影が巧み。
まず主人公のキャスティングがすばらしすぎる。18年前と現在がもはや別人なのに同じ人って本当にすごくない?
それにしても清原果耶の変に純粋ヒロインぶらずに"モテるの分かってるムーブ"してる感じ、よかったな。途中でもしかしてと先の展開を予想できたとしても、アミ視点の物語に結局感動してしまうのは、純粋に清原果耶の演技が良すぎるから。
そしてトドメの一撃【主題歌:Mr.Children】。今観てきた物語が、桜井さんの歌詞に乗ってもう一度涙腺に直撃する最高の締め。
"時の流れ"という香水の香りが"時の流れ"を感じさせつつも、"時が流れても"そこにあり続けるっておしゃれだな…。
物理的な旅と、"人生という旅"。その両方の愛おしさを、楽しさも切なさもすべて煮詰めて、美しい景色と共に味わわせてくれる、そんな"人生の味がする映画"だった。我々の日常にも色々あるけど、旅はただ続く。たまに足を止めるもまた一興。良いも悪いもすべての展開が旅。すべて深く味わい、すべて楽しもう。今作はそう思わせてくれた。
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