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ロングショットのnekokatzのレビュー・感想・評価

ロングショット(2023年製作の映画)
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最近の映画記録、TIFFの2日目にみた「ロングショット」のこと。コンペの出品作で中国映画。

これは面白かった。
自分はトークはスルーしたのだが、どうやら監督曰くこの上映版はまだ未完成とのことらしい(自分は気にならなかった)

舞台は1990年代半ばの中国東北部。
(とHPには書いてあるが、本編を観ると、遼寧省丹東市が舞台と分かる。明らかに旧奉天がモデルだと思う)

主人公グー・シュエビンは射撃競技の元選手。難聴で選手生命が絶たれ、今は警備員をしている。
勤め先は操業停止中の巨大鉄工所。
この撮り方が素晴らしい。

工員たちは出社停止だが、警備部だけは勤務している。機材や資材目当ての侵入者が横行しているためだ。
捕まえた少年グループの一人シャンジュンが、グーのアパートの隣人ということが分かり…という導入。

廃工場の場面は「アリスとテレスのまぼろし工場」そのまんま!
撮影はシャドウの階調が豊かで、カラコレのバランスも良い。廃墟マニアには素晴らしい映画と思いました。

寡黙なグーと少年の交流。一方で生活の為に資材の横流しをスルーする警備部の同僚達と、グーは衝突し…。
ゆったり始まった映画が、後半に一気に加速するのは圧巻。
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