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ゴジラ-1.0のnekokatzのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
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最近の映画記録、先週みた「ゴジラ−1.0」のこと。
自分は山崎貴作品には点が辛い方だと思うが、この映画のコンセプト自体はとても評価できた。
その一方で人物の描き方などには、過去の山崎作品と同様のかなり興醒めな部分も。

この作品のコンセプトについての評価も分かれているように見えるが、「永遠のゼロ」や「宇宙戦艦ヤマト」的な「第二次大戦の都合良い上書き」と見てしまう気持ちも理解する。
(なにしろその2作は山崎貴が映像化しているのだ…)

だが、自分はそれら2作から今作は線が引かれていて、むしろ009「太平洋の亡霊」や、鉄人28号の鉄人計画(第4作、今川版)のようなものと受け止めた。

つまり今作のゴジラは何をしに日本に来るのかということだ。自分は「愚かな侵略戦争を生んだ日本人を罰する」存在だと理解した。
この「罰する神」=ゴジラに対しては、先の大戦のように天皇を掲げず、精神主義や特攻のヒロイズムに陥らず、「正しい戦い方」をしなければ勝つことができない、という訳である。
この骨格を考えただけでも山崎貴は大変素晴らしいと思った。

罰を受ける代表である、主演の神木隆之介はかなり頑張っているが、黙している時の表情はともかく、喋り出すとやや重みが足りないと感じる。

対ゴジラ作戦が始まると、元兵士たちが沢山でてくるが、彼らの芝居がいかにも山崎作品で鼻白む。この「モブの男達」描写がいつも画一的なドヤ顔なのは、かなりのマイナスポイント。

その他、VFXや音響はかなりの出来。劇伴音楽も良かった。
過去の山崎作品に閉口してきた人にも、薦められる作品だと思う。
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