Jun潤

リンダはチキンがたべたい!のJun潤のレビュー・感想・評価

3.7
2024.04.16

ポスターを見て気になった作品。
仏伊合同製作の長編アニメーション。
今回は字幕版にて鑑賞。

幼い頃に父を亡くし、記憶から思い出が朧げになってきた少女・リンダ。
ある日リンダは、母・ポレットが大切にしている結婚指輪を使いたがり、学校に持っていこうとして怒られていた。
学校から帰ってくるとポレットが指輪を探しており、リンダが学校で勝手に友達のアネットの帽子と交換したのではないかと決めつけ、叱りつける。
しかし指輪は飼い猫が飲み込んでおり、リンダに謝罪したポレットは、彼女の願いを叶えることに。
リンダの願い事は、亡き父の得意料理、パプリカ・チキンが食べたいというものだった。
夫と違って料理ができないポレットは、まず鶏肉を確保しようとストライキ中の街に繰り出す。
これが街を巻き込む大騒動の始まりと知らずにー。

ほうほう、これがフランス産コメディアニメですか。
ディズニーやジブリともまた違う、絵本や童話のようなのに、背景やキャラの表情が観て分かるような独特の作画でした。
ストーリーについては、個人的に印象に残った場面は後述として、主にポレットの行動がアウトローというかイリーガルなものが多いので、そこで賛否が分かれそうに感じます。

ストーリーの流れ的にも、序盤の描写を上手く回収しており、変に広げすぎることなく、最低限の要素だけでクライマックスに向かっていくまとまったものでした。
メッセージ的にも、父親のいない子供の、拗れた末のハプニングというよりも、死んだ父親の存在が記憶の中から薄れていくことと夜の闇の中でも安心して眠らさせてくれる存在の対比を始めとして、今は記憶の中にしかいない父親の存在を決して忘れることがないのと同じように、どうしても食べたかったチキンのためにいただいた鶏の命も決して忘れないという、食育的に結構ちゃんとしたものに仕上がっていたように感じました。
Jun潤

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