荒野の狼

アメリカン・フィクションの荒野の狼のレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
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巧妙、なんて言葉は褒め言葉になってしまうので使いたくはないが、またしても「巧妙」なアメリカのリアル。なんとも人を食ったタイトルである。見終わればそう気づく。要するにとうとうここまで来た、手の込んだ目眩し。と言うか、どこまでも嘘をつく気でいるのが罪深く、実に白々しい。もはや隠す事もしなくなった。ジョークと言えば許されるとでも思っているのか?彼らが「神」「愛」「真実」「正義」「自由」と抜かすものは、全てフェイク(紛い物)である。書籍の題名「FUCK 」じゃなくて「FAKE」が正しい。「多様性」「LGBTQ」、まさに定義なき言葉の乱舞、骨なき肉のタコ踊り。暴露が自浄作用だとの勘違い、これが内なる良心の声に目覚めることのないアメリカの「良心」の正体であろう。オスカーとか笑わせる、悪を評価する賞は、悪に決まっている。「フィクショナル•アメリカ(ン)」。差別、宗教、政治、そしてセックス、単に好き嫌いの差でしかない。カネこそ全ての免罪符と信じて疑わぬやからが、この世はお金じゃないよといけしゃあしゃあとうそぶく様は醜悪でしかない。主役を筆頭に、不愉快な俳優たちばかりの映画である。その意味でなら、キャスティングには星5をつけて上げてもいい。
荒野の狼

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