スローモーション男

靴みがきのスローモーション男のレビュー・感想・評価

靴みがき(1946年製作の映画)
4.5
 ヴィットリオ・デ・シーカ監督が一躍有名になったイタリアンネオレアリズモの傑作。
大学図書館のVHSで観れました!

父親がおらず、靴磨きをして生計を経てるふたりの少年パスクァーレとジュゼッペ。
やがてひょんなことで悪商売に手を出してしまい少年院に入れられた二人。
次第に友情に亀裂が入っていく。

『自転車泥棒』『ウンベルトD』恐ろしいほど理不尽な戦後の闇を描いてましたが、これも凄い展開へと進んでいきます。

そして大人の恐さが凝縮されている。卑劣な方法でパスクァーレからジュゼッペの兄を告発させようとするシーンは悲しいし、優しさのせいで告発してしまったことを知らないジュゼッペは「裏切り者!」と絶縁してしまう。
さらにお互い同じ檻の中の少年たちに唆され、対立関係にどんどんなっていく。
 子供の嬉しそうに、お母さんと面談したり檻の中で話してる姿とは対照的に画くことで益々嫌な気持ちになっていきます…。
ラストシーンは、想像絶することが待ち受ける。

残酷でしたが、結構「映画的」な絶望だったので『自転車泥棒』や『ウンベルトD』のような理不尽さは足りなかったと感じました。
あとトリュフォーの『大人は判ってくれない』はこれから影響を受けてますね!
それでも素晴らしい作品です!