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シンデレラガールのsymaxのレビュー・感想・評価

シンデレラガール(2023年製作の映画)
3.8
"義足は障害の象徴ではなく、《個性》"

12歳で骨肉腫により、左足を切断した少女・音羽…入院中にサプライズで中学の卒業式を撮影した動画により、"義足のモデル"として注目される…

一時は時の人として注目されるも、徐々に義足を隠した仕事へ…

それに疑問を抱きはじめた音羽とマネージャーは、逆に義足を前面に打ち出した活動を始める…

そして、ついにショーに出演し、ワンウェイを歩けるチャンスがくるが…

全く、鑑賞の予定が無かったものの、"子宮に埋める"の緒方監督の最新作と知り、急遽鑑賞…

実に深い作品でありました…

私個人的には、60分程度という短い尺ではありますが、三部構成になっているように感じます。

音羽の障害を感動ポルノとして祭り上げるマスコミの第一部、障害を抱えた実情と自らの強い意思で立ち上がる音羽の姿を美しく描く第二部…そして、あの長い暗転の先にある第三部…

よくこれだけ詰め込んだと感心する構成…

見方によっては、障害を抱えた少女が、それこそ"シンデレラ"のようにワンウェイに立つモデルとして成功をおさめるサクセス・ストーリーと捉えられますが、エンドロールに流れる"あの音"を聞く限り、実は…という捉え方も出来る…美談のようで、実はとても残酷な物語が見えて来るという…流石、緒方監督…

長い暗転による省略は、音羽の障害に絡めた"欠如"と言えますが…延々と続くと思わせる暗転を音羽の意識とも捉えることも出来、やはり…これは…と私は感じました。

観る人によって、様々な捉え方が出来、様々な答えが出るように緒方監督は描いたのではないでしょうか?…これ、本当に深い…
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