ゴン吉

機動戦士ガンダムSEED スペシャルエディション 虚空の戦場 HDリマスターのゴン吉のレビュー・感想・評価

4.0
宇宙規模で繰り広げられる戦争を描いたテレビアニメ「機動戦士ガンダムSEED」全50話に新作カットを追加して3部作に再構成したスペシャルエディションの第1弾。
本作はTVアニメの1~21話の総集編。  

宇宙歴C.E.(コズミック・イラ)71年。前年に起きた血のバレンタインの悲劇によって地球軍とザフト軍は武力衝突に発展していた。地球軍は中立の宇宙コロニー・ヘリオポリスで新型機動兵器を作り、宇宙強襲機動特装艦アークエンジェルで運び出そうとするなど条約違反を繰り返していた。地球軍と対立するザフト軍は条約違反で作られた新型兵器を奪取するため、ヘリオポリスに侵入するが、地球軍がそれを阻止するために、さらなる条約を犯して民間人をも戦闘員に加えて反撃したため、ヘリオポリスでは沢山の死者が出るとともに壊滅的な被害を受ける。さらにヘリオポリスから脱出した地球軍のアークエンジェルは、宇宙で漂流していたザフト軍の令嬢をたまたま見つけると、民間人でもあるのにもかからず彼女を人質にして逃走を図るなど悪質な条約違反を繰り返す。地球軍の戦闘艦アークエンジェル内では、戦闘に巻き込まれて父親を失った女性が、父の敵討ちと父を守れなかった地球軍への復讐のために、体を使って色仕掛けで青年を誘惑し、戦闘に駆り立てる....    

遺伝子を調整することにより生まれながらにして優れた身体能力や頭脳を持つ人類(コーディネイター)と自然のままに生まれた人類(ナチュラル)の戦いを描いたSFロボット対戦作品。
とにかく地球軍が条約違反を繰りして民間人をも戦闘に巻き込むなど醜い。
また戦闘に巻き込まれた一般市民の少年少女たちが、自ら進んで地球軍に入隊するなど血気盛んな若者たちの愚かさも描いている。
戦争を終わらせたい主人公の青年が自ら戦闘に加わって戦争を助長し、多くの人々の命を奪っていく矛盾も描かれている。
本作は条約違反を繰り返す地球軍の視点を中心に軍のエゴが描かれており、戦争の本質を訴えようとしているように思えて興味深い。  

2024.1 BS12で鑑賞(日曜アニメ劇場)
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