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コンクリート・ユートピアのAyaxのレビュー・感想・評価

コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)
3.5
ここ数年、年始は韓国映画を観ていることが多い気がする。「非常宣言」とか「新感染半島」とか。休みだし元旦は安いから映画を観たいのに、ハリウッド映画の大作も邦画の話題作も無いことが多くて(2022年はスパイダーマンNWHが本国公開日から遅れて日本公開されて1月だったというのはある)、韓国映画の前年の話題作の字幕とか宣伝の準備が整うのがちょうど1月だったりするのかな。
本作はトロント国際映画祭(映画好きな人の間では注目されている映画祭)で、「パラサイトに続く傑作!」みたいな賞賛を受けたとかで、話題になってたけど、やっぱりそれはちょっと言い過ぎ。イ・ビョンホン✕パク・ソジュンでキャストは文句なしの豪華さだけど。あと、「愛の不時着」の班長的な人がまた出てる。韓国ドラマでおなじみの。災害より極限状態に置かれた人間の方が怖い系の話。
説明が少ないのは良いとして、でも状況の説明がなさすぎて(他国がどういう状況なのかとか、政府が本当に機能してないのかとか)気になってしまった。最後まで観てたら何かあるかなと思ったけど無かった。あえてそれを描かないことで、マンションの住民とその周辺の人たちにフォーカスしてると思うんだけど、私は普通に考えたらこうだよなーとか気になってしまってあんまり集中できず。原作がWEBTOONらしく、突飛な話なのでなるほどという感じ。あと、途中途中でダレて眠くなったので、もっとテンポ良くしてほしかったかな。129分かー。内容の割に長い気がする。偉そうなこと言ってすまぬ。説教臭いのもやや鼻につく。何か、こういう展開にしたら盛り上がるでしょ?みたいなことを詰め込んでるだけで伝えたいメッセージとかは別に無いように見える。すべての映画にありがたいメッセージとか示唆とか求めてなくて、無いなら無いです!って感じにしてくれた方が清々しいという話。何か言ってる風で何も言ってないのが何だかなあ。酷評っぽく書いてしまったけど、暇つぶしにはなる。配信で暇な時に観るのは全然良いと思う。
イ・ビョンホンが冴えないおじを演じきってるのは本当にすごい。この役のために生え際をM字脱毛したらしい。「ブルーバレンタイン」のライアン・ゴズリングじゃん。最初は自信なさげなのに成り上がってくのも面白かった。
地殻変動の映像が「インセプション」とか「ドクター・ストレンジ」のディメンションっぽい。

〈以下、ややネタバレ言及あり〉
ヨンタクの正体についてあまりにも説明がなさすぎ。もうちょっとどうしてそうなったのか描いてほしかった。長い割にさー、という。
ラストはカトリックが多い国、韓国ならでは。日本人とはそのへんで湧き出る感情が違いそうだなと思った。
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