クジラ映画としてはいいんだけど、『八日目の蝉』の監督だったんで、二匹目の泥鰌的な映画なのかと思ってしまった。それはキナコの親友が『八日目の蝉』の小池栄子と同じキャラだったから(ただ小池栄子の方がいい)。
キナコだけの問題だけでも重いテーマなのに、それに性同一障害を重ねてきてちょっとストーリーが込み入ってしまった感じがした。性同一障害だからと言ってキナコを愛せないということはないと思うのだが、そこが日本の閉鎖性なのか。母親がそういう感じで、絶望したのかもしれない。
御曹司はもっとしつこくキナコに付きまとってくるだろうと思うのだ。安吾のことをあれだけ調べるのだからキナコの居場所なんてすぐわかって追いかけてくるだろうと。そのへんが甘すぎると思う。まあファンタジー映画だと思えば感動したのかもしれない(ただ『八日目の蝉』のほうが泣けたのはラストの悲劇性かな)。
クジラの鳴き声と言えばケイト・ブッシュのデビュー曲「ムービング」でそのあとメロディが聴こえてくるような感じで困ったというか。ラストはその曲でも良かったかな。