KnightsofOdessa

女優は泣かないのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

女優は泣かない(2023年製作の映画)
4.0
[] 80点

不倫騒動に巻き込まれて活動自粛していた安藤梨花が活動再開後の初仕事に選んだのは、10年ぶりに地元に帰るドキュメンタリーだった。しかし、適当なマネージャーと適当な製作局のおかげで、来たのは新人AD瀬野だた一人。やらされ仕事に乗り気でない二人はのっけから噛み合わないが、偶然と必然に流されてく中で自らの仕事と人生に向き合っていく。双方基礎すら怪しい下手の横好き状態の"プロ"だが、ここが好きで門を叩き信念を持ってここにいる。しかし、時間が経つにつれてなぜここに来たか忘れてしまって、外敵から身を守ることだけ覚え上手くなってしまった。そんな二人の心の壁が少しずつ溶けていく様をシンプルかつ丁寧に描いていく。二人いるからこそ発生するある種の強引さが物語を時短しながら深みを与えているのも良い。伊藤万理華、やはり只者じゃない。なぜか最後まで付き合ってくれる気のいいタクシー運転手サルタクの言葉に私も励まされた。"死ぬまでに観たい映画1001本"完走報告した際に、"俺も20年ぶりに映画観てみようかな"とコメントが付いた時の、"あぁ届いていたんだな"という嬉しさと一抹の気恥ずかしさを思い出した。
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